original




We #10 / 五月女哲平
サイズ:16×10.3 cm
素材:acrylic on wood, 2021
-
Teppei Soutome exhibition
皮膜のように薄い色を何層も重ねた素地から成り立っている。一見しただけでは気付かない、
また何度観ても確認不可能と思われるような隠されてしまった色や、層と層が混ざり合って
出来上がった色も含めれば、多くの色層の上にこれら作品のイメージが作られている。
とは言え、そもそもこの構造は特別なものではなく、絵画を成り立たせているプロセスとしては
むしろ非常にスタンダードなものかも知れない。
ここで、歴史とはつまり〝忘却〟だと考えてみる。
ある平な土地はもともと集落であったし、ある都市の一画には川が流れていた。
あそこの丘はもともと山で、あっちの家はもともと井戸だった。
誰からも忘れ去られてしまった様な数多の小さな物語と、
覆され続ける史実が積み重なって今があるならば、
私たちに出来ることと言えば、それを丹念に、そして執拗に想像し続けてあげること。
私はそれを絵画によって反復する。
五月女哲平
<プロフィール>
五月女 哲平 Teppei Soutome / 現代美術家。1980年栃木県生まれ。 2005年東京造形大学美術学部絵画科卒業。薄く溶いたアクリル絵の具をキャンパスの麻地側に 染み込ませるように重ねていく技法で描かれた抽象的な絵画作品で知られる。